
炭火を日常的に使っている、と言うとたいていの方が驚きます。家には火鉢も囲炉裏もあるので、と付け加えるとさらに驚きます。火鉢はともかく囲炉裏なんて、田舎生活でもしない限り、都会の人間には縁のないものだと思い込んでいるようです。
囲炉裏と言っても、囲炉裏テーブルです。床に直接炉を切るのが理想ですが、まあ、なかなかそうはいきません。そこでテーブル式の囲炉裏を使っているわけです。決して上等なものではありませんが、囲炉裏であることに変わりはなし。しかも安物と馬鹿にする事なかれ、かれこれ10年以上は愛用しています。
今の中井の家に引っ越してきて間もなく、自在鉤を取り付けました。炭火の難点は火加減の調節が難しいこと。焼き物はまだいいのですが、鍋の場合は困ります。最初は火が弱いかな、と思っていると、いつの間にかガンガン熾ってきて、汁を足しても足しても足りなくなる始末。でも、自在鉤があれば、鍋の位置を上下にずらして、火から遠ざけたり近付けたりして火加減を調節することが出来ます。先人の知恵は素晴らしい。

さて、和牛の霜降り肉をいただいたので、昨日はこの囲炉裏を囲んで焼きシャブを楽しみました。炭火で軽く炙って、大根おろしとポン酢、柚子こしょうでいただくのです。これがことのほか美味。余分な脂が落ちるのはもちろんですが、やはり炭火ですから、表面かりっと中はジューシー。野菜もとっても美味しく焼き上がります。
ところで、皆さんが気にするのが煙。壁が汚れるのではないか、匂いが染みつくのではないかとおっしゃいます。経験から言うと、煙草の煙よりよほどまし、と言っておきましょう。かつて夫婦二人で煙草を吸っていたことがありますが、その頃は壁がヤニで汚れて匂いもひどいものでした。肉を焼いた匂いなんて、それに比べたら可愛いもの。しかもヤニのように激しく汚れることもありません。
マンションなど密閉性の高い建物の場合はおすすめできませんが、囲炉裏は決して田舎暮らし限定のものではありません。都会の真ん中でも、囲炉裏のある生活が楽しめます。事実、こうして暮らしている人間がいるのですから。
囲炉裏テーブルはネット通販でも探せば幾らでも売っています。そうそう、うちでは近頃この囲炉裏がどうも小さいのでは、と不評。お客様も多くいらっしゃるので、いずれもっと大振りのものを、できれば注文であつらえたいと思っています。いつのことになるやら、わかりませんけれど。

コメントする