暑い日が続くと食欲も減退しますが、それ以上に台所に立つのが苦痛になってきます。比較的風通しの良い台所ですが、冷房などという近代的設備はなく、火を使うと途端に身体中から汗が噴き出してきます。
さあ、そうなると「手っ取り早く」済ませるメニューが何と言っても重宝。ささっと作って食べましょう、ということに相成ります。しかも、これでも仕事を持つ身。昼間は意外と忙しくしていますから、特に昼食に関しては「手っ取り早く」できるものが一番です。特にそうめんなどは茹で時間も短く、便利ですよね。
でもちょっと待って。
「手っ取り早く」って、ある意味とてもファストな世界の言葉。
このブログを読んでくださっている方はご存知かと思いますが、私はこれまでにも「手っ取り早く」ばやりの世相に対して、批判的なことを何度も書いてきています。「きちんと手をかけて」がモットーですから、「手っ取り早く」作れるものはあまり信用していない、というのが正直な心境です。
それなのになぜ「手っ取り早く」・・・?
「手っ取り早く」と言っても、コンビニでお弁当を買ってくるわけではありません。手抜きをするわけでもありません。「手っ取り早く」と「手抜き」は、似て非なるもの。
手抜きをせずに手っ取り早く作る。これが真夏の調理におけるテーマの一つ。そのために、実は結構な努力をしています。
例えば、めんのつゆは自分で作ります。醤油とみりんに花かつおを入れて煮立て、冷めたら丁寧に濾して出来上がり。お好みの水で薄めて使います。保存料が入っていないので一遍に沢山は作れませんが、これさえあればいつでも麺類が食べられます。

薬味は庭のしそやネギを刻んで使いますが、それだけはちょっと物足りないな、と思うときのためにピクルスを用意しておきます。写真はゴーヤとセロリのピクルス。どちらも軽く湯通しした材料を、酢と塩、砂糖等でお好みの味に仕上げたピクルス液につけ込んで作ったもの。二日ほどで食べられるようになります。このピクルスを刻んで、薬味として用いると、ちょっと変わった味わいが楽しめます。
ちなみに、らっきょうも同様にして使えますが、うちでは夫の好みの関係から、らっきょうだけは作ったことがありません。らっきょうがある方は、試しに刻んで薬味に使ってみてください。
柚子こしょうも麺類の友としては欠かせないアイテム。これも私は自分で作っています。青柚子と青唐辛子をフードプロセッサですり下ろして塩漬けにして作ります。秋口に一年分、人様に差し上げる分も入れて、柚子にして20キロ分を漬け込みます。柚子の皮を剥く作業は、気が遠くなるほど時間がかかりますが、これで一年楽しめると思うと、苦労も何のその。
また、梅干しを入れることもあります。梅干しなんて手抜きじゃないか、と思われるかもしれませんが、とんでもない。きちんと家で漬け、土用干しをした梅干しです。ほら、「手っ取り早く」の裏側には、気の長い努力があるってわかるでしょう?
現代はすぐに結果を求めがち。「手っ取り早く」が好まれるのも、結果がすぐに出るからなのでしょう。しかしながら、何事も長いスパンで考えることも必要です。梅雨の間につけ込んだ梅干しで一年を過ごす。秋口に漬け込んだ柚子こしょうで一年を楽しむ。めんつゆやピクルスにしても、すぐに結果が出ると言うよりは、時間をかけてそのありがたみを感じる食べ物です。
梅干しを漬けるのにも、柚子こしょうを作るのにも、とても時間がかかります。時間はかかるけれど、その長い時間が、のちのち「手っ取り早く」につながり、結果として時間の節約にもなります。逆に今現在「手っ取り早く」と思うあまり、保存料のしこたま入ったコンビニ弁当を食べることで、身体をこわしてしまうこともあります。健康を損なえば、その分時間は無駄になります。
人の一生に与えられた時間なんてごくごく短いもの。“ファスト”で節約したつもりが、結果的に無駄になっていることもあると考えたら、とことん“スロー”でいいや、と思ってしまう私です。